●戦後と共に現れた名馬 ●幻となったトキノミノル ダービー制覇17日後、6月20日。突然の出来事であった。破傷風から来る敗血症により、トキノミノルはこの世を去った。トキノミノルは足に爆弾を抱えていたのだった。皐月賞制覇後、ダービーに向けて調教していたときに、何と裂蹄が判明。さらに慢性の膝の疾患も悪化したため、ダービー前は十分な調教が積めなかったのだった。それでも無理をおして、爪と蹄鉄の間にフェルトを挟んでまでダービーに出走したのだった。関係者によると、ダービーの時点で既に破傷風に冒されていたのではないかといわれている。 トキノミノルは非常に賢い馬だったと言われている。レースでも距離を測るのは騎手の役目だが、トキノミノルは自分で距離がわかっているかのように、自らペースを作ったそうだ。それでもスピードの違いで、ダービー以外では全てスタートから逃げ切りだった。ダービーでは、自分の限界を知っていたからこそ、スタート直後は他の馬に逃げを許したのではないだろうか。 トキノミノルの死は多くの人に悲しみを与えた。馬主の永田氏は「三冠を取ったらアメリカに遠征しようと考えていた」と語った。また、作家の吉屋信子氏が、毎日新聞へトキノミノルに関する一文を投稿した。 「初出走以来10戦10勝、目指すダービーに勝って忽然と死んでいったが、あれはダービーをとるために生まれてきた幻の馬だ」 まさにダービー制覇のために生きてきたようなトキノミノル。死後も彼の伝説は色あせることなく残り続けている。東京競馬場には、今でも彼の銅像が人々を迎えている。
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トキノミノル Tokinominoru(JPN)
牡 鹿毛
馬主 | 永田雄一 |
生産者 | 三石本桐牧場 |
調教師 | 田中和一郎 |
戦績 | 10戦10勝(レコード7回) |
獲得賞金 | 425万7,150円 |
主な勝ち鞍 | 1950朝日杯3歳ステークス 1951皐月賞 1951東京優駿 |
血統表 | |||
セフト Theft 1932 |
Tetratema | The Tetrarch | Roi Herode |
Vahren | |||
Scotch Gift | Symington | ||
Maund | |||
Voleuse | Volta | Valence | |
Agnes Velasques | |||
Sun Worship | Sundridge | ||
Doctorine | |||
第弐タイランツクヰーン 1934 |
Soldennis | Tredennis | Kendal |
St.Marguerite | |||
Soligena | Soliman | ||
St.Guntheim | |||
タイランツクヰーン Tylant's Queen |
Phalaris | Polymelus | |
Bromus | |||
Silver Queen | The Tetrarch | ||
Princess Stering |